MEDICAL INFORMATION

乳腺・乳房の病気(陥没乳頭・乳腺炎など)

乳腺の症状について

しこり

しこりには良性のものと悪性のものがあります。 生理周期による女性ホルモンの変化により乳房全体にしこりを触れたりすることがあります。良性のものには乳腺炎(乳汁うっ滞による非細菌性のものと、乳頭部の傷から細菌感染し乳腺に炎症を起こすものがある)、乳腺症、嚢胞、線維腺腫、葉状腫瘍などがあります。 悪性のものは乳がんです。

痛み

しこりと同様に生理周期による女性ホルモンの変化により乳房に痛みや張りを感じます。また妊娠や出産後の授乳期にも女性ホルモンの分泌量が変動するため痛みを生じることがあります。 また乳腺炎や乳腺症でも痛みを伴うことがあります。 乳がんや悪性の場合も痛みを伴うことがあります。

腫れ、赤み

乳腺に炎症を起こしている場合があります。 まれに炎症性乳がんといった病気の場合もあります。

乳頭分泌や陥没

分泌液が無色の場合は悪性の心配はありません。白色の場合も授乳中でなくても認める場合がありますが、少量の場合は問題ないことが多いです。量が多くなればプロラクチンというホルモンの値が異常である場合があります。 血性や暗赤色の場合は悪性の可能性があるため、検査で調べます。良性のこともあります。 陥没乳頭は乳頭が凹んでいたり平坦な状態のことをいいます。生まれつきのこともありますが、乳がんなど悪性の病気が原因で認めることもあります。

皮膚のひきつれ、くぼみ

わきのしこり、痛み、違和感

乳首のかゆみ

乳房の左右差、変形

 

乳腺の病気について

Ⅰ.良性疾患

嚢胞

閉塞した乳管が袋状になり、分泌物(水分やリンパ液)が貯留した状態です。 中身は水分のため増減を繰り返し、サイズが小さければ自然消失することもあります。 大きい場合はしこりとして触れることがあります。 検査により経過観察となります。基本的にはがん化する可能性を心配する必要はありません。

乳管内乳頭腫

30歳後半から50歳代にかけてみられます。乳頭から分泌液がみられ透明や薄い黄色の分泌液の場合もありますが、褐色や血性分泌液を認めることもあります。 無症状のこともあります。 ほとんどが検査により経過観察となりますが、早期の乳がんを合併することがあります。

線維腺腫

15歳から35歳ぐらいの若年女性に最も多くみられます。 通常は2-3㎝になると増殖は止まり自然退縮するものもあります。 基本的には経過観察ですが、3㎝以上や急速に増大するものは手術で摘出します。 まれに10㎝以上の巨大線維腺腫とよばれるものがあります。この場合も手術で外科的に切除します。 基本的には乳がん発症と関係はありません。

葉状腫瘍

35歳から55歳ぐらいの女性に認められ、画像診断上も線維腺腫と似ていますが、2-3か月単位で比較的急速に増大する場合があります。 葉状腫瘍は良性、境界型、悪性に分類され、50%以上は良性ですが約25%は悪性です。 基本的には手術で外科的に切除します。

乳腺炎、膿瘍

 

乳腺の石灰化について

乳腺内にはしばしばカルシウムが沈着することがあり、石灰化と呼びます。石灰化が起こる原因はさまざまですが、多くの石灰化は良性であり、放置しても問題はありません。しかし中にはがんに伴って石灰化が生じることがあります。石灰化が生じても自覚症状が出ることは少なく、石灰化を見つけるのに有用な検査はマンモグラフィー検査です。良性の石灰化と判断されれば経過観察になります。悪性が疑われる場合はさらなる精密検査を行います。

高濃度乳房について

乳房は乳腺組織、脂肪組織、皮膚、血管などから構成されています。高濃度乳房は乳房の構成(乳房内の乳腺組織と脂肪組織の割合)を表す言葉で乳腺組織の割合が多いことです。 マンモグラフィー検査では乳腺組織は白く、脂肪組織は黒く写ります。乳がんなどの病気も白く写るため、高濃度乳房の場合は病気があってもマンモグラフィー検査で見つけにくくなる場合があります。現在のところ高濃度乳房の方に対して強くすすめられる追加の検査(超音波検査やMRI検査)の有用性の結論は出ておりませんが、超音波検査を追加することが多いです。 乳房の構成は個々によりさまざまであり、高濃度乳房は病気ではなく、高濃度乳房であることのみで心配する必要はありません。定期的にご自身の乳房を観察し、何か症状や変化があれば受診してください。また定期的に検診を受けることも大切です。