マンモグラフィ検査(MMG)

近年、日本では乳がん発生率・死亡率共に年々増加傾向にあります。
マンモグラフィ検査は乳房専用のレントゲン検査です。視触診では触れないような小さながんや、超音波検査で確認しにくいような微細な石灰化病変*1を発見することが可能です。
*1石灰化病変:乳腺の一部にカルシウムが沈着すること。多くは良性なので問題ない一方で、「がんの初期症状」として石灰化もあるため、進行する前に石灰化の存在を発見することは重要な意味を持ちます。
マンモグラフィ検査は乳がんの早期発見に欠かせない画像診断として、40歳以上の方は1~2年に1度は受診されることが推奨されています。

当院では、痛くなりにくい優しい設計のマンモグラフィ検査機器を導入しています。乳腺専門の女性放射線技師(検診マンモグラフィ認定取得)がきめ細やかな撮影を行っています。

マンモグラフィ検査(MMG)とは?

マンモグラフィ検査(MMG)は、乳房を挟んで圧迫し、薄く均等に広げてX線撮影します。主に40歳以上の方に推奨されている検査で、しこり(腫瘤)の有無や石灰化病変(良性/悪性)の発見が可能です。この検査により40代以降の乳がん死亡率を減少させる効果が世界的に認められています*2
*2(参考)総説1 乳がん検診とブレスト・アウェアネス|乳癌診療ガイドライン2022年版
https://jbcs.xsrv.jp/guideline/2022/k_index/s1/

通常4回(右乳房2回・左乳房2回)撮影し、圧迫は1回あたり10秒程度で、検査時間は約10分です。体調など人によって、検査で痛みを感じる場合もあります。我慢できないほどの痛みがあるときは、遠慮なく技師までお申し出ください。
ただし、乳腺組織が発達している30代以下の方や乳腺密度の濃い「高濃度乳房」の方では、乳房全体が白く写ってしまい、病変の精査が難しいことがあります。
よって、30代以下の方は超音波検査、高濃度乳房の方はマンモグラフィ検査と超音波検査(エコー検査)の併用が望ましいとされています。

なお、マンモグラフィ検査での放射線被ばく量は、日常生活において受ける放射線レベルと比較して同じくらいの低さなので、心配ありません。

(図)マンモグラフィ検査(MMG)のイメージ

マンモグラフィ検査の特徴

マンモグラフィ検査の特徴として、次のようなメリット・デメリットがあります。

【メリット】
  • 視触診では分からないような乳房内の病変、しこり(腫瘍)の大きさが確認できる
    小さなしこりも発見することができます。

  • 以前の画像所見と、比較しやすい
  • 触診で発見できないような小さながん、しこりを作らない早期がん(非触知乳がん)の発見が可能
【デメリット】
  • 乳腺組織が発達している若い世代や高濃度乳房の方では、病変を発見しにくい
  • 豊胸手術を受けた方やペースメーカーを装着されている方は原則適応外

マンモグラフィ検査を避けた方が良いケース

次に該当する場合はマンモグラフィ検査に適さないため、超音波検査をおすすめしています。
事前にお申し出ください。

  • 妊娠中・妊娠の可能性がある
  • 授乳中・断乳後6か月以内
  • 心臓ペースメーカーを装着中である
  • V-Pシャントの手術(水頭症治療)を受けている
  • 豊胸手術を受けている

マンモグラフィ検査での注意点

  • 生理前・生理中の検査は避けた方が良い
    生理前~生理中は乳房が張り、痛みを感じやすい時期です。また、検査の感度を高めるため、月経開始7日~10日後あたりの検査がおすすめですが、生理中でも検査は可能です。
  • 授乳中は正しい検査結果を得られない可能性がある
    授乳期でも放射線の影響はないので、撮影自体は可能ですが、授乳期の乳腺はホルモンの影響によって、乳腺が発達した状態となり、著しく乳腺の厚みが増しています。そのため、マンモグラフィ検査をすると、乳房全体が白く写り、正確な診断が難しい状況となります。また、圧迫によって強い痛みを感じたり母乳が出たりすることもあります。「乳がん検診」として受診されるのであれば、卒乳後6か月以上経過してからをおすすめします。ただし、しこりなど気になる自覚症状がある場合には、授乳中でも乳腺外来の受診をおすすめします。
  • 四十肩・五十肩で、肩より上(90度)に腕が上がらない場合には、十分な検査ができないことがあります。事前に医師またはスタッフまでご相談ください。

大阪市乳がん検診(マンモグラフィ検査)

当院は令和5年(2023年)1月より「大阪市乳がん検診(マンモグラフィ検査)の対応医療機関」となりました。
乳がん検診(マンモグラフィ検査)対象者は、大阪市に住民票があり、年度末までに40歳以上となる女性です(2年に1回受診可能)
費用は1,500円で、無料クーポン持参の方は無料となります。詳しくは、お気軽にお問い合わせください。

よくある質問

マンモグラフィ検査(MMG)の結果は、いつ分かりますか?

マンモグラフィ検査では、撮影直後にモニターで確認・診断を行っています。
検査の結果、乳がんの疑いや精密検査が必要と判断された場合には、別途、精密検査(コア針生検など)を行います。

マンモグラフィ検査は痛いと聞くのですが・・・。

マンモグラフィ検査は、乳房を圧迫して撮影するため、「痛い」イメージをお持ちの方が多いかもしれません。
しかし、当院のマンモグラフィ装置は、従来の装置と比べて乳房を圧迫する圧迫板が柔らかい素材でできているため、圧迫時の痛みを抑えた検査が可能です。さらに、乳房に合わせた最適な圧迫を行う機能が付いているので、痛みの軽減と精度の高い診断を実現しています。
とはいえ、マンモグラフィ検査の理想は、できるだけ乳房を平らにして撮影することなので、月経周期や体調によって、痛みを感じてしまうケースがあります。我慢できない痛みがあるときは、遠慮なさらずお申し出ください。
また、緊張や恥ずかしさから、体がこわばってしまいがちですが、こわばると痛みを感じやすくなります。ゆっくりと深呼吸して、身体の力を抜いた状態で臨みましょう。

マンモグラフィ検査(MMG)を受けるときの服装で注意することはありますか?

乳房の診察および検査では、上半身を露出する必要があるので、次のような点に注意すると良いでしょう。

  • ワンピースは避けて、脱着しやすい上衣の着用
    下着も含めて、脱着しやすい上下セパレートの服装がおすすめです。
    ワンピースでご来院の方は、検診用ズボンをお貸しします。
  • ご自身で外せないようなピアス・ネックレスはNG
    検査に支障を来すため、ピアス・ネックレスなどのアクセサリー類は検査前に外していただきます。なお、貴重品については、ご自身で管理するようお願いします。
  • 髪の毛の長い方は、後ろで結んでください
    あらかじめ、結ぶためのゴムなどお持ちください。
  • 制汗剤・パウダー・ラメなどは胸や脇の下に付けてこない、もしくは検査前によく拭き取る
    胸や脇の下に付着したまま撮影すると、成分によっては画像に写し出されてしまい「石灰化」と判断されることがあります。不要な再検査を避けるためにもご注意ください。

院長からのひとこと>

「マンモグラフィ」は、乳腺のしこりの発見だけでなく、石灰化の検出も得意なため、乳がんの早期発見に有用です。
当院は、日本乳がん検診精度管理中央機構施設・画像評価委員会より「マンモグラフィ検診 施設・画像認定証」をいただいており、精度の高さが正式に認められています。
また、乳腺専門の女性放射線技師 (検診マンモグラフィ認定取得技師) が撮影を行っています。痛みの少ない質の高い「マンモグラフィ」を受けていただけますので、ぜひお気軽に当院にお立ち寄りください。
なお、乳がんの早期発見のために行う検査と言えば、「超音波検査 (エコー)」と「マンモグラフィ」の2つがありますが、異なるメリットがあるので併用して受けていただくことが理想的です。